【オンラインゲームビジネスの特徴】



オンラインゲームビジネスの最大の特徴は『限られたパイを奪い合う』ビジネスということだ。
日本において有料会員が10万人を超える大規模MMORPGは、

「Ultima Online(以下UO)」
「Ever Quest」
「Lineage」
「Ragnarok Online」
「ファイナルファンタジーXI」
の5タイトル。

この5本で60万人(6月末発表ベース)を超える。
複数のゲームを同時に行うプレイヤーもいることから、その他のゲームを合わせ、多くても100万人という線が妥当であろう。
つまり、MMORPGのような月会費を払うオンラインゲームは、未だファイナルファンタジーX-2の195万本に遠く及ばないニッチ(マニア)マーケットである。
また、MMORPGの月会費は2000円程度であるから、複数のゲームを同時に契約することは、ユーザーにとって大きな負担になる。
したがって、ユーザーの財布の面でも限界がある。加えて、ユーザーのエントリーバリアも未だ高い。
MMORPGを快適にプレイするには、高スペックPC、クレジットカード(クレジットカードを持たないユーザーのためにクーポンを家電量販店で販売するメーカーもある)、
プレイステーション2ではBBユニットが必要となる。
このような『限られたパイを奪い合う』市場下では、それほど多くのゲームが健全な経済性を担保したままビジネスを展開することは非常に難しく、
「一握りの勝ち組」と「多くの負け組」が生まれやすいビジネス特性を持つということができるだろう。

オンラインゲームの第二の特徴は、『するめビジネス』ということだ。
するめは、『最初はさほど味がしない』ものであるが、『かめばかむほど味が出て』くる。
しかしながら『かみ過ぎると味が無くなって』しまう。
MMORPGでは、初心者プレイヤーは、始めは何をしたらよいか全くわからないため『最初はさほど味がしない』ものであるが、
経験、知識が蓄積すればするほど、つまり『かめばかむほど味が出て』、面白くなる。
しかしながら、数年を経過すると技術的にも内容的にも陳腐化が進み、飽きられ、『かみ過ぎると味が無くなって』しまう。
つまり、『陳腐化サイクル』が存在する。
例えばUOの『陳腐化サイクル』にうまく合わせて成功したのが「Ever Quest」、ということになる。

第三に、オンラインゲームは、『ソムリエビジネス』とも言える。
オンラインゲームはエントリーバリアが高いことから、いかに早期に『ソムリエ』たちの評判を獲得するかが成功の鍵となる。
ゲームメーカー各社とも、評価ができるベテランプレイヤー(ソムリエ)達にゲームの面白さを知ってもらうために、「ベータテスト」という無料テスト期間を設けることが一般的である。
このベータテストによってベテランプレイヤーの「評判」がその後の新規プレイヤーの獲得に極めて重要な因子となる。
相手は百戦錬磨のベテランプレイヤー達であるから、重大なバグやサーバーにかかる負荷による遅延等の問題があれば、悪い「評判」のみを残しさっさと他のゲームに流れてしまう。
大変「移り気」なユーザーを満足させる必要がある。
したがって、ユーザーサポートの質、ベータ運営のノウハウなど、ゲームメーカーにも経験値の蓄積が必要となる。
この『ソムリエ』達への対応をおろそかにしたために失敗したゲームは枚挙に暇が無い。



ZDNetから引用:

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